後悔に気づいてしまった
10年前のことを、ちゃんと終わらせないまま、ここまで来てしまった気がしています。
2016年当時、私は地元で「ピクニック365カフェ」という親子カフェを始めました。

お母さんたちが安心して集まれる場所を作りたい。
子どもたちと一緒に過ごせる、あたたかい居場所を作りたい。
そんな想いで、ただ夢中で走っていました。
ありがたいことに取材もしていただき、たくさんの人と出会い、カフェは少しずつ形になっていきました。
その時の記事です。

「久しぶりに、大人と話しました」
当時、この記事を見てカフェに来てくれた人が多かったのです。
「オーナーのこの気持ちに共感したので」と。
今でも忘れられない言葉があります。
あるママが、帰り際にぽつりと、
「久しぶりに、大人と話しました」
そう言ってくれました。
その言葉を聞いたとき、この場所はちゃんと誰かに届いていたんだな、と感じました。
そして、思っている以上にママたちは孤独に頑張っているのだと知りました。
困難はアイデアの源泉に!

実は計画当初から難関がいくつもありました。
それをどう乗り越えるか。
無機質なコンテナハウスを可愛い色で塗ろう。
壁にアートをして写真スポットを作ろう。
石がゴロゴロした危ない広場。
近所の農家さんから道具を借りてみんなで整備しました。
それでも危ないから芝生を全面に敷きたい。
クラウドファンディングをやり、全国、そしてアメリカからも支援していただき、夢の芝生広場もできました。

でも、事情があって、私一人ですべての運営をしていくことになりました。
期待を裏切る自分になるのが怖かった
子ども食堂を目標に、オンラインコミュニティも立ち上げていました。
でも全部を一人で抱えてしまい、せっかく協賛していただいた方とのコミュニケーションも不足してしまいました。
孫の世話。
Webデザイナーの仕事。
親子カフェ運営。
PTA事務の仕事。
身体が悲鳴をあげてしまい、2年足らずでカフェを閉じることになりました。
誰かに嫌われるのが怖かった。
…というより、期待を裏切る自分になるのが怖かったんだと思います。
「久しぶりに、大人と話しました」
「実家に帰ってきたみたい」
そう言ってくれた人たちを裏切りたくなかった。
でも限界でした。
カフェを更地にして完全撤退。
そして再構築。
それから8年
オンラインでの活動を続けてきました。
そのおかげで、自分の4人の子どもたちのサポートが自由自在にできる自分になりました。
子育てのサポートのために孫たちとも一緒に暮らし、2025年末、無事5人目の孫も生まれました。
そして、ようやく…
それぞれの子どもたち、孫たちの世話も私がしなくても大丈夫という状況になり、晴れて清水区に戻ろうということになりました。
地元に戻って、新しいことを始めようとしたけれど
せっかく戻ってきたのだから、みんながつながり合えるマルシェをやろう。
日付は6月28日の日曜日。
場所は清水テルサの7階会議室。大きな窓の外には空と海と富士山。
天気に左右されない。
駅からも近い。
こりゃ、最高だ!
そう思って、この2月、企画を進め、LPも作り、おもしろい仕掛けも準備していました。
でも、途中でふと、
「なんか違う」
そう感じた瞬間がありました。
「これ、私じゃなくてもできるんじゃないかな」
企画が悪いわけではありませんでした。
むしろ、良いマルシェになると思っていました。
ただ、
「これ、私じゃなくてもできるんじゃないかな」
そんな感覚がよぎったのです。
マルシェをやること自体が目的になっていて、そこに、自分の人生のストーリーが感じられなかったんです。
伝えられなかった「ありがとう」
その違和感をたどっていくうちに、気づいたことがあります。
ピクニック365カフェで出会ってくれた人たちに、「ありがとう」を伝えられなかった後悔が、ずっとあったこと。
限界が来る前に、ちゃんと言えればよかった。
「この日が最後です」と。
閉店するとわかっていれば告知できたのに、そんな余裕がまったくありませんでした。
オープンの時にみんなで作った「むし君」たちを、制作してくれた方たちの元へお送りするのが精一杯でした。

「むし君」って小さな子でも握りやすくて、しかもカンタンに作れるぬいぐるみのようなもの。
静岡市からだけじゃなくて、島田市や富士市からも参加していただいて、みんなで、手作りをしましたね。
子ども用のプールにいっぱい作って「むし君プール」を作ろう!という手作りイベント。
ほんと、楽しかった。
ずっと子どもたちと共に居てくれたけれど…お別れしました。
涙が出た理由
1日限りでいいから、ピクニック365カフェを再縁しよう。
そして、ちゃんと感謝を伝えよう。
そう思った瞬間、
理由は説明できないけれど、涙が出ました。
私が本当にやりたかったのは、新しいことを始めることではなく、ちゃんと向き合ってつなぎ直すことだったんだ。
決意した2016年からちょうど10年。
だから、ここで一度、集まりたいと思いました。
マルシェを企画したくなったのも、きっとこの気持ちがそうさせたんだなと、私の中にいる「あの時の私」に感謝した瞬間でした。



コメント